TV「カンブリア宮殿」にはてな近藤社長が出演

帰宅してTVをつけたら、いきなり画面にmixiの笠原社長とはてな近藤社長id:jkondo)が出てました。思わず録画。番組の内容自体は取り立ててどうということはなかったのですが、こういうものがTV番組として電波に乗るというのはすごいことです。他にもペパボとか出てたし、かと言って妙な持ち上げをしているわけでもなく、思った以上にまっとうな内容でした。

村上龍ウェブ進化論よろしく「ネットのあちら側」という表現をしていましたが、「あちら側」について思いを巡らす度に自分のステージというものについて考えさせられます。「あちら側」に構築されるサービスの定石は、アイデアを人より早く実装し、それが例え中途半端な状態であってもリリースして改善を繰り返すというもの。ものごとのサイクルを早く回して常に時代の最先端を追える一方で、ディティールの作り込みは甘くなりがちです。半年一昔とも言える業界の状況では、早さは必須要素です。しかしながら、「こちら側」の住人にとってはその時間の感覚は不自然です。数日間ネット環境を離れると、RSSリーダーにはすごい数の未読が溜まります。インターネットは一人の人間が手に入れられる情報を文字通り桁違いに増加させましたが、一生活者としてあらためて現状を鑑みた時に、あまりに莫大な情報にある種の怖さを感じました。かつてのITブームでは「情報ハイウェイ」という言葉が盛んに取り沙汰されましたが、「降りることの出来ない高速道路」に感じられることがままあります。一人の人間が生きて行くに当たって必要な情報量はどの程度なのか? もちろん個人差はあるにせよ、「あちら側」だけに意識が行ってしまっていいのだろうか、という疑念は常に感じています。

新しいサービスではなく、ふつうの(とは言っても世間からすれば古くない)ものを腰を据えてきっちりと仕上げるというアプローチも大切にしたいと思います。グラフィックデザインタイポグラフィ、ライティングなど既存のクリエイティブを結集したコンテンツはやはり魅力的です。昨今のWeb2.0ブームから、今はテクノロジーがWebを牽引するというイメージが強いですが、純粋なクリエイティブが死ぬことはないし、何を作るにしてもその要素は内包されます。

先進的なサービスのサイクルに乗ることと、腰を据えて粛々と制作を続けること。自分はそのどちらも捨てられないし、どちらか一方に向いているという明確な指向性もないようです。どこまで二兎を追うことができるかは分かりませんが、当面はこのままどちらにも手を出していきたいと思います。