LinuxをクライアントOSに選ぶということ

自分の場合、Linuxをクライアントとして試してみた一番の理由は「Linux慣れしたい」ということでした。とりあえずサーバを立ててWebアプリの開発をやるだけなら、Linuxの知識は実際それほど必要ありません。昔と違ってWebの情報も豊富だし、そもそもLinuxその物がずいぶんと扱いやすくなっています。日本語もインストーラで選択すれば使えるし、ハードウェアの認識もかなりの部分が自動でいけます(逆に自動で認識しない場合は面倒なことになりがちですが)。
とは言え、サーバを「とりあえず動かす」のと「ちゃんと管理する」の間には当然のことながら雲泥の差があります。その差を埋めるには、とにかくLinuxに触れる時間を長くすることが第一だと考えました。触っていれば何かをしたくなった時にその方法を学ばざるを得ないし、トラブルに遭遇すれば対処法を調べるしかない。もちろん純粋にクライアントとしても興味はあったのですが、一番のモチベーションはそこで得られるノウハウを手に入れたいということでした。

クライアントとして導入したのはUbuntuだけですが、短い期間ながらも「とにかく触る」ことの有効性というのは感じています。会社のLet's noteは挫折したけど、自宅のDynabookUbuntuのまま使い続けるつもりです。RedHat系(RedHat7, Fedora5〜, CentOS4〜)しか触ったことがなかったので、他のディストリを覗くという意味でもUbuntuはなかなかいい選択だったと思います。

これだけだと単にサーバの勉強用という感じですが、クライアントとしてもかなり好印象です。Beryl(or Compiz)の使用が大前提になりますが、3Dデスクトップは自分の中では非常に高評価です。もちろんまだまだこなれていない面もあって不安定だったり、ビデオのドライバ周りで怪しい部分が多かったりというのはありますが、進化の度合いを見てもかなり期待が出来ます。Macと違って、Windows同様ショートカットの基本がCtrl系なのも馴染みやすいです。あとはAlt+ドラッグでウィンドウを移動出来るのがなにげに凄く便利。これWindowsとかでも同じようなことするソフト欲しいなぁ(探せばありそうだけど)。

他にもMacに対する非常に大きなアドバンテージとして「お金のかからなさ」が挙げられます。僕がMacに移行するとなると、まずAtokParallelsは買うことになるでしょう。それに自宅で使っているマウスとキーボードがMacでは使えないので、その分も必要になります。Fireworksとかそっち系のソフトもMacで新しく揃えだしたら、それこそ本体よりもずっと大きな投資が必要になります。

Ubuntuだと標準IMEAnthyが相当賢いのでそのままで問題ないし、WindowsVMwareで動かせば追加投資は不要です。キーボードとマウスはたまたまMac非対応だったので、それでMacの評価を下げるのもかわいそうですが、実際自分の手元だとそうなので仕方なし。Fireworksとかはそもそも出ていないので、あきらめてVMware上のWindowsで動かすしかないと開き直れます。本体も手元のを適当に使えばいいし。そういう意味ではハードルが低いですね。Mac mini(PowerPC版)はあるけど、本格的に使うなら新しくMacbookを買った方がいいだろうし。

LinuxをクライアントOSにした場合、ソフトが足りなくて結局Windowsも必要になってはくるけど、VMwareWindowsXPを動かしてみたらかなり快適だったので、よっぽど気合いを入れて作業をするのでなければ十分なような気がします。少なくともWindowsVMwareLinuxを動かすよりは断然速いですね。

ネックになるのはX特有のトラブルだったり、デバイス認識やドライバの問題ですね。ケースバスケースな部分があまりに大きく、そのケースでしか使えないノウハウになってしまう可能性が高いので学習の投資効果という面ではやや腰が引けます。それに何より、がんばっても無理だった場合の徒労感が応える。とは言え「トラブル時に何をどう調べればいいか」というノウハウは大切なので、少しとは言え経験出来たのはよかったと思います。

10月リリースのUbuntu(Gusty)ではXを再起動しなくてもディスプレイ周りの設定が変更出来そう(しかもGUIで)だったり、ハードの対応もまた進んでいるようなので、継続的に状況は見ていきたいですね。ちょうどSoftwareDegisnでもUbuntu特集やってることですし。