それでも「泥カン」は素晴らしく意義のあるカンファレンスだった

会場に行ってもいないし、ustも見てなかったけど語ってみる。

個人的には、下請けで3Kだなんだいわれるような状況で働いているプログラマの方々(階層)を意図的にスルーしているような印象を受けました。

これは、泥カンの開催意図が件の記事に対するアンチテーゼとしてのポジティブキャンペーンなので、そうなるのも当然。

「泥のように働かされる存在」を無視しているのではなく、「確かにそういう側面もあるだろうけど、そればっかりじゃないよ」ということを伝えるものだったんだと認識しています。

ここに出ている方(およびゲストも)はトップランナーの方ばかりなので、一般的にはあまり参考にならないのかもしれませんが、

開催してる側もパネラの状況が一般的だなんて思ってません。


ただ、タイトルはマズかった。「〜IT企業はほんとに泥のように働かされるのか〜」と銘打っておきながら、泥じゃない人ばかりを集めて「(少なくとも俺らは)泥じゃないよねー」というのは流石に厳しい。

泥かどうか、って議論は「(パネラの人達は)泥じゃないよね?うん」で終わり*1だと思っていた。

最初は(パネラの人達は)という注釈が無かったので、「言いたいことは分かるけど、その表現はひどい」と思ったもんです。

「〜IT企業は泥のように働かされるばかりじゃない〜」ぐらいだったら実態に即してたんだろうけど、あれだけ刺激的なタイトルじゃなかったら絶対にここまで注目されてない。


「あの場所に派遣の下請けPGとかがいなかったからクソだ」という意見も分かるけど、実際にそういう人を迎えてカンファレンスが開けたかと言えば、それは無理だろう。

そういう人は立場的にも出づらい。心理的にもそうだし、顔を出すことで直接的に損害を被る可能性も決して低くない。それに、毎晩遅くまで泥のように働かされている人には、そんな場に出てくるだけの元気も残っていないし、そもそも開催されることを知るだけのアンテナもない。

その難局を乗り越えて、カンファレンスを実現させることも大きな意義があると思うけど、その場合は多大な時間が必要となったし、実現できたかどうかも怪しい。

この話題がホットなトピックである間にカンファレンスを実現させるには、思いを同じくした者たちが集まってメッセージを伝える以外には方法がなかったはず。それを圧倒的なパワーとスピードで実現したid:wa-renさんと主催の皆さんには改めて賞賛の声を送りたい。


「泥カン」は問題提起として、素晴らしく意義のあるカンファレンスだったと思います。これを機に業界のいろんなことを考える流れや取り組みが生まれそうな気配もあるし、ここからだよね。

この先、「泥」と認識されている部分で苦しんでいる人たちの窮状を伝える場も開催されれば、それも素晴らしい。でも、それは「学生向け」の場で語られるべき内容ではないはずです。学生に見せるなということではなくて、それ以上に目を向けるべき人たちがいるでしょう、という意味で。