楽天テクノロジーカンファレンスに行ってきた

一週間も経ってすっかり時期を逃した感があるけど、書かないよりはいいだろうということでエントリ。

当日のタイムスケジュールとかが公式にアナウンスされてなかった(はず)なので、よしおかさんのところを参照。

公式に用意されていたのは申し込みのフォームだけのはず。申し込んだら後日メールでスケジュールが送られてきた。

僕がこのイベントを知ったのは、PHP懇親会の時に「楽天のカフェテリアが堪能できるらしい」という話を聞いたから。コミュニティの口コミベースで告知されてた印象。

もっと公式にWebで情報を出していけばいいと思うんだけど、あまりに人が集まりすぎるとさばききれないとか、まだ手探りな感じなのかな。


13:00からスタートだったんだけど、前日までの京都→横浜ツアーですっかり体力を使い果たして会場入りが16:30。どう見ても懇親会に遊びに行くシフトです。

着いた時にはA会場(楽天の人によるトークセッション)、B会場(Rubyコミュニティによる発表)と2つのセッションが開催されてました。

B会場は言ってみればおなじみの雰囲気だったので、ここはA会場をチョイス。こういう時は、普段は聞けないようなセッションに参加する方が面白いよね。ドラが鳴った時はB会場に心惹かれたけどw

「Rakuten Next Revolution」の1セッションしか聞いてないけど、その時のメモ晒し。

■ 1. 楽天の今後の開発戦略

誰だか記録できてないけど、技術系のマネジメントやってる偉い人っぽい(常務とか書いてた?)。

  • 正社員中心での内製が競争力の源泉
  • 東京、宮城、大阪、北海道、福岡と開発拠点を広げてる(それぞれ20〜30人ぐらい)
  • 海外の優秀な学生を新卒採用 → 将来の拠点構築を視野に
  • e-marketing、無駄な広告を見ないで済むように
  • 金融事業のシナジー
  • 口座管理の機能連携など → 来年の課題

興味を引かれたトピックはこのあたり。話自体はもっといろいろあったんだけど、概論に終始してしまって当たり障りのない内容が多かった。

こういうマネジメント層のお話はなかなか聞ける機会がないので、これが聞けただけでも収穫は多かった。時間があればもっと突っ込んだ話が聞けたのかな。

■ 2. 開発者のためのフィールド

人事の人から組織体制とかの紹介

  • 開発部は各事業部からは独立した組織横断的な存在
  • 開発人材課、通常の人事とは独立したエンジニア採用のための部署
  • 全体朝会とかあるらしい(参加は義務なのかな?)
  • 新人にPHPのコーディングさせてレビューする社内勉強会とか
  • 社内モバイル勉強会とか
  • 今日のカンファレンスもそういう活動の一環だよね
  • 社内ビジネス研修とか
  • その他もろもろの技術勉強会もあるよ
  • 噂の社員食堂とか

開発部が各事業部から独立してるのはいいと思った。「○○事業本部 開発部 開発1課」とかなってたら厳しいよね。

わりと速いペースで話が進んでしまって、それぞれ実際のところどうなのかは今ひとつつかめないまま終わった印象。

資料が後から公開されてれば、もう少し読み取れる部分もあったのかも知れないけど。

■ 3. ジャングル Engineer's Revolution

申請すればroot権限つきの開発環境(これを「楽天ジャングル」と呼ぶ)がもらえて、社内に自分の作った物を公開できる仕組みらしい。

エンジニアの人が話してたけど、こういう場にあまり慣れてないようで若干の聞きづらさがあった。

当日はA会場、B会場、C会場に分かれてたんだけど、同じフロアをパーティションで区切ってるだけだから隣の会場の声とかモロにかぶっちゃうのね。

B会場のセッションは笑いも起きるし、ドラも鳴る。その隣で大人しい喋りをしちゃうとその間は聞こえなかったりする。仕方ないかなとも思うけど、ちょっと気になった。

  • 社内LANから80番でアクセスできる(社外には出してない)
  • 社内のインフラとかライブラリが使える(blog, wiki, ML, レコメンドエンジン, 顔検出, 画像変換)
  • 100人環境以上提供してる(1人で複数使ってる人もいる)
  • 超重いらしい(ロードアベレージ100超える時もあるとか)
  • 将来的には社外に出せる物も出てくるかも

楽天に入ればこういうのが使えて面白いよ」という主旨のセッションなんだろうけど、正直なところ自分としては何が嬉しいのか分からなかった。

ふつうに個人としてやれば全世界からアクセスできるのに、社内でしか見られない物を作ってどうしたいのかが分からない。

今の世の中、個人で何か発信することのハードルは信じられないぐらい低くなってるんだから、何かやりたいなら自分でどうにでもできるはず。

社内のインフラが使えたり、身近な人が見てくれるのかも知れないけど、外の世界に出た方が絶対に楽しいしためになる。


別にこの取り組み自体をそんなにけなしたいわけじゃないし、これはこれでいいと思うんだけど、どうにもなじめなかった。

自分の知ってる狭い範囲だけど、大きな会社には社内指向が強い人が多い印象があります。

社内で結構な数の技術者集団が形成されてるし、そこでの評価は仕事にも大きなプラスになるせいもあってか、わりとそこで欲求を満たせちゃうらしい。

でも、そこでどれだけ頑張っても社外の人には伝わらないし、話をすることはあっても実際に見てもらうことはできない。

そもそも社員が何千人といても、その中でエンジニアでこういうものに興味を示す人、となると母数も決して大きくないはず。

昔はその分野で一流を張ってる企業の中にしかないようなノウハウも山ほどあったろうし、外のコミュニティなんて馬の骨の寄せ集めにしか見えなかったのかも知れないけど、今はそういう時代ではないはず。

それに、会社のリソースに依存するということは、その会社を辞める時に手放さなきゃいけないわけで、それってものすごく勿体ないことだと思う。


こういう面については当然何も触れられなかったし(紹介するだけで時間いっぱいだし)、それを聞く場もなかったけど、実際どうなんだろう。

自分みたいなのは、むしろ会社に依存しなさすぎで異端なのは分かってるけど。

楽天テクノロジーアワード 記念講演、表彰式

これはいろんなところで紹介されてたので軽く。

エンジニア云々はさておき、三木谷社長の話の中で特に気になったポイントは、

  • ネット上のポイントってのはこれからもっと伸びる
  • CPA広告はもうダメだって言われてたけど、不況で復活の流れに
  • GoogleもADネットワークに組み込んだ
  • 代理店の一括仕切りが衰えてきて、直接出稿が増えてきた
  • 古い人たちがネットをつぶしに来てるので皆で対抗しないといけない

というあたり。

特に最後の項は重要。どうしても普段ネットにどっぷりな生活をしてると、ビジネス寄りな方の視野が狭くなりがちなので、そのあたりは気を付けたいですね。


三木谷社長の公開質問の時に、隣に座ってたid:lindが圧倒的なスピードで質問してて本当にすげーと思った。彼のこういう姿勢は本当に頭が上がらない。

コミュニティ活動に対する評価、表彰を楽天のような企業がするという試みは面白い。出版社とかだとありそうなんだけど「あの楽天が」という意外性が楽しいね。こういうのはもっと広まっていい。


この後、楽天ご自慢のカフェテリアでおいしいご飯を頂いたり、三木谷社長の名刺を頂いたり、二次会でいろんな人と飲み食いしたりして散々楽しんで帰宅。怒濤のイベントウィークが終わりを告げたのでした。二次会もっと立ち回りたかったけど、ちょっとくたびれてまったりモードに入ってしまった。

正直、2日ぐらい疲れが取れなくて参ったけど、それだけの価値は十分にあった。一番キツかったのは荷物が重い→腕が疲れる→肩・首にくる→頭痛というコンボだった。キャリーバッグとかあってもいいかも…

■振り返り

普段と違う様相のイベントで非常に楽しめました。

A会場のセッションはもっと早くから参加したかった。内容的にはちょっと物足りなさを感じる部分もあったけど、逆にそういう「いつもと違う」雰囲気の話を聞ける機会は貴重。

あと、以前のPHP設計勉強会でお邪魔した時に「楽天の社内は撮影禁止」というルールを聞いていたのでカメラは持って行かなかったんだけど、この日に限っては撮影OKだったのは特筆に値すること。

このイベント、去年に続いて二度目だったらしいんだけど、前回は撮影・録音禁止だったそうで、そういう意味でも大きな進化をしていたようです。

単独企業の主催でありながら、ビジネス色が薄いイベントというのは本当に貴重だと思うので、皆で盛り立てていきたいですね。

来年は公式の動画配信と、発表資料のオンライン公開までやれれば本当に素晴らしい会になるはず。いろいろ難しいかも知れないけど、楽天さんにはがんばって欲しいと心底思います。